大麻をでっかく密輸
今回は「1ポンドの大麻を持ち帰ったぜ~!」と帰国後すぐに悪友数名に連絡があったようだ。
そんな連絡の1時間後に奴のアパートへ悪友4人が集合し、お披露目会となった。
ダッフルバッグからスカイダイビング用のパラシュートを取り出し、おもむろに広げ始めた。
まだ目視では確認出来ないが、大麻の良い香りが鼻の奥を微かに刺激した。
ほどなくして、畳まれたパラシュートの奥からレンガほどの塊が出てきた。
その塊はプレスして、ジップロックに入れ、さらにアルミホイルで包まれていた。
「ウォーーー!!!」
「でっけー!」
「こんな塊、初めて見たぜ!」
もちろん全員が大興奮だ。
そんな事を言いながら、皆それぞれのお気に入りのパイプを取り出しはじめたのだ。
「待て待て、1人1万円だ!」と奴が言いながら、消しゴム程の塊をそれぞれに手渡した。
渡しているモノは小さく見えるが、しっかりガッチリとプレスされた大麻の塊だ。
小さな一欠片でも5~6グラムはある。
6畳ほどの部屋はあっという間に燻製工場のように煙で充満した。
(話はそれてしまうが、大麻で肉を燻製したら旨いんじゃないか?と煙をくゆらせている時に常々思う。)
俺は喉が渇いたのでコンビニへ買い出しに行ったが、奴のアパートへの帰り道が思い出せず、ヘラヘラと幸せな気分で街を彷徨った。
その後どうやって乗ったか忘れたが、山手線に乗った。
もしかして同じ駅を2回通過したか?なんて事も思ったが正直どうでもいい。
ふと我に返った時、俺は自宅のベッドで寝ていたのだ。
帰り道にラーメンを食べたような記憶はあるが…さて、どうだったか?
とはいえ、大麻のおかげでぐっすり眠れたし、日頃から感じていた体中の痛みも消えていた。
タバコを探そうとポケットをまさぐると、昨日の大麻が残っていた。
そいつを一服して、昨日のことを思い出すのをやめた。
大きく吸い込んだ煙を吐き出しながら天井を仰ぐと、ふと思い出す昨日の断片的な記憶。
「あっ、俺1万円払い忘れたな…皆から買い出しの金も徴収したのに、そのまま帰っちまったな…」
慌てて携帯を見たが、誰からも連絡は入っていなかった。
これが大麻、ただ幸せなだけ。
誰も傷つかないし傷つけない。
そんなお披露目会から約2か月後、ヒロは再びアメリカへ飛び立った。
俺が車で空港まで送っていった時に、「6,000ドルで仕入れた大麻が200万円になったぜ」とにっこりと笑っていた。
ヒロ、お前は一生そのままでいてくれ。
もちろんだけど、次回もお土産待ってるぜ!
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