大麻が無い
道具箱の中にあるジップロックは全部空っぽだった。
冷蔵庫、冷凍庫、チルド室…
どこかにまだ残っていると思っていたが、ジップロックコンテナはすべて空っぽだった。
先週末に吸いすぎた…。
今夜の分も吸ってしまった…。
手持ちの大麻が、無い。
全く無いのだ。
仕事は前倒ししないが、大麻の前倒しは良くやってしまう。
ここでまで来ると、もう最後の手段しかない。
30枚ほどのジップロックをすべて裏返し、隅に残っている粉を集めるのだ。
さらにパイプやボングを分解して、タールを集める。
名付けて【必殺・お掃除作戦】だ。
「アメリカならこんなことしないのに、みみっちいなぁ」と思うけど、仕方がないここは日本なのだ。
大麻は地金より高価だ。
努力の甲斐もあってか、20~30分後にはパイプのボールが満たされる程集める事が出来た。
パイプ、ライター、ポリ袋を並べ、この1ヒットにすべて賭ける。
タール混じりの粉が「パチパチパチッ」と音を立てて燃え、濃厚な煙が肺に入る。
失神寸前まで息を止め、煙をポリ袋に吐き、ポリ袋に吐いた煙を吸い、またポリ袋に煙を吐く…。
そんなことを数回繰り返してから家を出た。
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