母株を永遠に保管?最適な方法と よくある問題?
永遠に育てていたくなるような、とっても素敵な品種の植物はありますか?
植物の遺伝子をキープする方法はいくつかありますが、最も良い方法はその植物のクローンを作ることです。
クローンを育てるには、母株となる植物が健康であることが最も重要です。
この記事では、母株となる植物をキープするためのヒントをいくつかご紹介します。
多くの園芸家が、自分の大切な植物を永遠にキープしたいと切に願っており、ある人は最高の植物を友人とシェアしたいと考え、またある人は、遺伝的に優れた植物を、将来にわたり何世代も育て続けられるようにしたいと考え、さらにある人は、新しい品種のブリーディングに使用する為の優れた遺伝物質を確保する必要があるのです。
どのような理由で植物の遺伝子を保存したいのかにかかわらず、それにはいくつかの選択肢があります。
ひとつは、植物を何年も生かすこと。
虫の侵入や病原菌の攻撃、あるいは自然的な老化(老化に伴う細胞の劣化)など、植物を生かし続けることは想像以上に難しいのです。
多年草の中には、長期間生きられるように進化したものもありますが、一年草を何年も生かそうとするのは、人間を何世紀も生かそうとするのと同じような行為なのです。
第二の選択肢は、組織培養を利用して、虫や病気に侵されることなく植物を長期間生存させることです。
しかしながら、このプロセスには高価な設備と多くの時間、そしてある程度の訓練が必要になります。
第三の方法は、園芸で最も一般的な植物増殖法の一つであるクローニング(挿し木)です。
この方法では、保存したい遺伝子を持つ母株から小枝を切り取ります。
挿し木は、クローンジェルや粉末などのホルモン剤で発根を促し、適当な培地に植えて発根させ、母植物の遺伝子コピーします。
母株は、クローンを採取するためだけに育てます。
挿し木は根が伸びるのに時間がかかるため、クローンは新しい根を伸ばすのに必要な栄養を蓄えた炭水化物と水を補給しなければなりません。
最も健康で元気なクローンを育てるには、母株の健康状態が非常に重要なのです。
今回の記事は、素晴らしいクローンを育てるために、最高級のケアを母株に対して行うためのヒントとなるでしょう。
母株へのフィーディングスケジュールを改良
母株から元気なクローンを得るためには、フィーディングスケジュールを改良する必要があります。
多くの栽培家は、母株に対して標準的な植物用肥料を与えていますが、これはドナー植物にとって理想的ではありません。
母株は、窒素、特に硝酸塩(Nitrates)の使用を最小限に抑えたフィーディングプログラムを用意する必要があります。
そうすることで、炭素と窒素の比率が高くなり、炭水化物の貯蔵量が増え、より健康的な根付きの挿し木が可能になります。
窒素を過剰に与えると、母株は早く成長しますが、成長が遅く、炭水化物が少なく、茎が柔らかい挿し木になり、病気にかかりやすくなるのです。
不必要なカリウムは硝酸塩の不均衡による問題を悪化させる傾向があるので、窒素とカリウムの割合が1:1の肥料を選びましょう。
母株には最小限の硝酸態窒素を与え、葉が全体的に黄色くなってきたと感じたら、窒素の多い肥料を少し与える程度がよいでしょう。
また、母株の肥料に欠かせないのが、カルシウムです。
肥料に含まれるカルシウムは、植物体内を根から木部を通って葉や茎に移動し、茎を太く、細胞壁を丈夫にする働きがあります。
細胞壁が丈夫で茎が太いということは、病気にかかりにくく、丈夫なクローンを作ることにつながります。
その他、母植物に有効な添加物として、アミノ酸、フミン酸、フルボ酸、ケルプや海藻エキスなどの生物活性物質があります。
アミノ酸は根の吸収経路を開き、カルシウムなどの元素の吸収を高めることができ、吸収率が1000倍にもなります。
フミン酸は、ケルプエキスと5対2の割合で組み合わせて母植物の根系に適用すると、植物が抗酸化物質スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)を生成するのを助け、その結果、植物の細胞膜を熱や乾燥のストレスから保護するのを助けます。
この熱や乾燥のストレスが加わることで、柔らかい挿し木の生存率に大きな差が生まれます。
また、挿し木をする2週間ほど前から、母株にフルボ酸と海藻を混ぜたものを週2~3回、葉面散布すると、より強いクローンを作ることができます。
フルボ酸はキレート剤として働き、植物細胞内の細胞膜を越えて金属イオンを最も必要とする場所に運び、酵素を刺激して植物細胞内の化学反応速度を高めます。
植物に葉面散布する場合は、植物への吸収をよくするために、湿潤剤や界面活性剤を葉面散布の混合物に加えることを忘れないようにしましょう。
母株の年齢を把握する
ガーデニングで育てる植物の多くは一年草です。
一年草は、発芽から種子の形成までのライフサイクルを1年以内に終える植物です。
一年草を長期間母株として育てると、挿し木が弱くなり、病気にもかかりやすくなります。
植物は成長する過程で、日照リズムに基づく体内時計によって細胞年齢を把握しています。
植物の細胞が老化すると、タンパク質やDNAが分解され、自然と成長の効率が悪くなります。
タンパク質やDNAの分解はゆっくり進むため、初期にはほとんど影響がありませんが、細胞が古くなればなるほど、この分解がもたらす累積的な影響は大きくなるのです。
最終的には、生物、特にクローンが生き残る可能性が低くなってしまうのです。
母株は最初の1、2年は優秀なクローンのドナーになるかもしれないですが、やがて細胞の劣化が進み、挿し木の生存率が大幅に低下します。
このため、母株の年齢とクローニングの成功率を記録しておくと、新しい母株を選ぶべき時期やタイミングを知ることができるようになります。
また、クローンは元の母株と同じ遺伝子年齢であり、クローンの母株から同じ株を再生させると、元々持っていた問題と同じことが起こる可能性が高いことを忘れないでください。
母株を長期間維持するためには、適切な肥料を与え、母株の年齢を把握し、常にバックアップの遺伝子を用意しておくことが大切です。
母株も生命のある植物です。やはり永遠に生かすという事は非常に難しいという事を忘れないでください。
Leave a Reply