大麻の香り!
家からデニーズまでは、何回も行った事があるのに、かなり緊張した。
あまりにも緊張しすぎて、曲がらなければいけないポイントを気づかずに通り過ぎ、ちょっとよくわからない道にはいったりもしたが、お目当てのデニーズまでなんとか到着。
「よし、誰だ。誰が持ってんだ?」
こんな独り言を呟きながら、ポッケにあるお金を何度も手でクシャクシャにする。
実際にディーラーを探し始めると、誰が持っているかなんて全く想像がつかない。
医療用は許可されているとしても、時代的にはまだそこまで大麻に寛容ではなかったので、「キミ、大麻持ってる?」とか気軽に聞けないんですよね。
そんなこんなで、デニーズの入り口付近にベンチがあったので結構長い間座りながら音楽を聞いてました。
今も使っているSKULL CANDYのイヤホンの重低音、最高です。
その場で数十分位スマホをいじっていると、横からファンキーなアフリカ系の方に声をかけられました。
ものすごくフレンドリーで、「どっから来たの?」とか「ハワイに何しにきてんのー?」という質問攻めに。
ゲイのナンパかと思ったけど、どうやら違うみたいで、多分その人と10分位は話したんじゃないですかね?
もう話す事もなくて、早くどっか行かねーかなーとか考えてたら、「何でここにずっといるの?」って聞いてきて、「ちょっと探し物してるんですよ」って返したんですよ、そしたらその質問に食い気味に「なに?」って聞かれまして、「まぁ、大麻かな。20ドル分くらいの」って言ったら「まじかよ!?日本人って大麻吸うのかよ!」ってめちゃくちゃ驚かれました。
このお兄さん表情が豊かやなーって、思いながら「いや、吸った事ないけど、せっかくハワイにいるし。トライしたいんだよねー」っていうのを伝えると、お兄さんは「そうかー、俺今持ってないんだよー、ごめんなー」みたいな事を言いました。
「もってねぇのかよ!!!!!!!」って心の中でシャウトした時に、お兄さんのガラケーがピロピロ鳴って「ちょっとまって」って言いながらお友達と通話を始めました。
お兄さんを待っていると、ビーチでは金曜日恒例の花火が打上げられ始めたので、それをぼんやりと見てました。
「あぁー、ここの花火も見飽きたなー…」なんて思っていたら、お兄さんが「ちょっと歩こうぜ」って言ってきたのでとりあえずベンチから立ち上がり、お兄さんの後ろに着いて行きました。
歩きはじめてすぐに、お兄さんがボクの方を振り返って「$20を右手の中で握りしめて、ここで待ってな」と言い、ダッシュで路地裏に入って行く。
大通りのど真ん中に残されたボクは、超ポカーンとした状態で、やる事もないし5分だけ待ってみるかと思い、道の隅っこに移り、待つ事に。
道の端っこに寄ってから、すぐにさっきのお兄さんが戻って来て、「友達待たせてるからすぐに行かなきゃ、お金ある?」と。
ボクは「うん」しか言わなかったけど、食い気味にお兄さんが「握手!握手!お金を握って俺と握手!」と言ってきたので、ボクは「なぜ?」と聞いた。
「それが俺たちのやり方なんだよ(that’s how we do it)」とお兄さんがボクに静かなトーンで説明する。
「その言葉かっけええええええええええええええええええ」と口には出さずに、一度手をポッケに手を突っ込んで、お札をぐしゃぐしゃに握ってお兄さんと握手をしました。
そう、これがその瞬間。
その握手で、ボクが握ったお金と兄ちゃんの大麻が入ったパケを交換しました。
人生初のドラッグディーリング。
正直、握手の最中に手をゴソゴソしてるから、なんだ?って思ったのですがそういう事だったんですね〜。
それから兄ちゃんは「嗅いでみ、嗅いでみ」ってボクをプッシュするもんだから、道端で小さなパケの匂いを嗅いだわけですよ。
そしたらむっちゃくちゃ森とか土的な匂いがしたんで、「まじかぁ!?」ってびっくりしてすぐにポッケにしまいました。
そしてあの兄ちゃんは「Have a good time!」って言ってまた路地裏に戻って行きました。
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